Backdoor Hepatologist in Iowa

アイオワ大学消化器肝臓内科医師のブログ 内視鏡から肝臓移植まで色々と取り扱ってます

アルコールと肝移植、フェローの成長、グリーンカード

9月に外来で診た症例が、肝移植の適応評価ラウンドの俎上に。

アルコール肝硬変だがまた禁酒3ヶ月。Social supportは手厚く、これまでAlcoholismに関連した症状は皆無で、腹水貯留に気づいて初めて近隣のGIを紹介されて初めて肝疾患の存在に気づかれた、というストーリー。MELD-Naは初診時24、3ヵ月後29。禁酒にもかかわらず着実に悪化している。Waiting listに載れば比較的早期に移植に至る可能性がある。また歩けているうちにリストに載せたいと思い早めの適応評価を開始した。

アルコール性肝障害に対する肝移植の是非については一定の見解は得られていない。たとえば、極端な話、何年か前NEJMにフランス(!)の施設からの報告で、直前まで飲んでいても重度のアルコール性肝炎に対しては肝移植は適応だろう、どうだ!というエポックメーキングなレポートが出たが、いまだ広いコンセンサスには至っていない。

日本では、2年前の時点では”生体は施設ごと、大体6ヶ月の禁酒が前提のことが多い”、”脳死は18ヶ月の禁酒と精神科の診察”が必須だった。この手の基準は洋の東西を問わずころころ変わるので現在がどうなっているかは不明。

あくまで個人的には、ざっくり言って医師は原則性善説を採るべきと考えているので、アルコール依存が精神疾患である可能性が高い以上、そしてICD10でも規定された疾病である以上、定められた基準をクリアする場合全例移植適応と考えている。一定の基準、というものの、科学的にアルコール依存の”寛解”を評価する確固たるエビデンスは無いので、その基準は国ごとでもよいし、移植施設ごとでも良い。現在うちの施設では”数ヶ月”の断酒と再発防止プログラムへの参加、が基準である。数ヶ月、というあいまいな基準でいいのかという疑問はここでは問わない。自分の意見は、6ヶ月とか3ヶ月とか具体的な数値にすべきと思うが、さまざまな事情がありあくまでも”数ヶ月”という基準になっている。ので、自分はこれに従って適応患者が1-2ヶ月禁酒しても改善せず、今後の改善も見込みにくいと判断した症例を移植評価するのである(あるいは1-2ヶ月でよくわからない場合はさらに待って改善の見込みの無い時点で、最長6ヶ月まで見た上で)。 

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2年目フェローの内視鏡の上達を垣間見てうれしい気分になる。もうこれ以上、自分の内視鏡処置のテリトリーを広げるつもりは無いので、今後は後進の指導に力を入れねば。もう13年目だし。日本的軽度沈静下挿入を教えるというのもその一つ。日本に帰れば凡百の内視鏡医だがここではちょっとだけ重宝される。うれしいが威張れたものではない。

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グリーンカードの手続きのため、州都Des Moinesまで出頭し、月曜朝8時に指紋採取。期日を指定され(選択の余地なし)、家から車で2時間なので小さい子持ちのみとしては前日ホテルに泊まらざるを得ず。期日を記載した通知が来たのが10日前だったので入院患者のラウンドを同僚に頼むなどばたばたしたが、無事完了。