Backdoor Hepatologist in Iowa

アイオワ大学消化器肝臓内科医師のブログ 内視鏡から肝臓移植まで色々と取り扱ってます

紹介の文化とお酒の話

週末はまた雪。子供らと雪合戦などを楽しむ。雪かきでは融雪剤の威力に驚嘆。

一昨日の外来の話。消化器以外の病歴が長くかつ複雑な経過をたどっているのに、腹部超音波のレポート1枚(脂肪肝・肝腫大・腹水あり)だけFaxしてきて、肝腫大の鑑別してください、というOutside hospitalからの紹介。結局は問診のやり直し(およびそれに付随して不足する医療情報などを先方に再度FAX頂くよう御依頼)や診断的腹水穿刺も行った結果、コントロール不良の右心不全によるCongestive hepatopathyだった。日本の患者紹介と文化の違いを痛感するのに適切なケースといえる。

アルコール肝障害の患者が多く、”俺は(あたしは)飲んでない”という患者もまま遭遇する。自分の英語でのコミュニケーションの至らなさもあり、誰がうそを言っているのか見破るのはなかなか難しい。もちろん同意の上だが、疑ったらアルコールを尿検査でスクリーニングするのが当然の文化なので、それに頼ることもある。特にethyl glucuronideが調べられるので外来前日だけ酒を抜いてきた患者に突きつけることができるので便利(?)。なんだか海の向こうの芸能人の話のようですね。

そういえばカナダにいたころCold turkeyという言い回しを聞いたときは何のことかわからず、患者に聞いてしまったことを思いだした。まさか酒飲んでないことを指す単語とは想像もつきませんよね。

 

マッチング、移植後脂肪肝

昨日、フェローのマッチングの結果が発表された。2017年7月スタートの4人のフェローが決定。全員インドの先生(うちのプログラムはビザのサポートなどの面からIMGに人気がある)。夏が楽しみですね。

今日、同僚と議論した難しい症例--- 急性肝不全(アセトアミノフェン)に対して肝移植後、1ヶ月でPTLD(移植後に起きるリンパ腫の一種、このケースはEBウイルス関連)を発症し、免疫抑制剤の大幅な減量のみで治療開始、2ヵ月後のPET-CTでPTLDは寛解。しかしその際の画像で、以前は見られなかった強烈な脂肪肝が確認された。自分はPTLDの治療開始まで入院担当医として診ていたが、その後何があったのだろうか。肝酵素はまったく正常。急激に太ったとか薬剤性の可能性は低そうだし、TPNやってるわけでももちろんないし。比較的コントロールの悪い糖尿病の影響か?まさかの酒?...などなど盛り上がる。究極的には、移植後ということで”なんでも起こりえる”という話に決着してしまうかもしれないが、検査結果待ち。肝移植はこういうトリッキーなケースがままあるので面白いですね。

内視鏡と鎮静

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昨日は1日内視鏡。本業は移植内科・肝臓内科なので、ESDやERCP、ステント留置等は手を出さず(出せず)、上部下部消化管のBasicな処置のみ。といっても静脈瘤を見つければその場でEVLをしたり、食道狭窄を見つけたらそのままブラインドでバルーニングをしたり、ぐらいまではやるので、まあ肝臓内科医にしては十分充実した処置のラインナップだと思っている。

---セデーションの話。スクリーニングの大腸内視鏡でもミダゾラムとフェンタニルを使用する。プロポフォールを使う内視鏡医もいる。自分は日本でずっと内視鏡をしていたので、使用量は比較的少なめ。ミダゾラム2mg+フェンタニル25-50μgで開始することが多い。先日のM&Mカンファで、脾湾曲にテンションがかかりすぎて脾臓がモゲて出血したという症例があったが、日本でもこんな症例あるんでしょうか?過剰に沈静かけて押せ押せで挿入しているのが一因(脾臓がモゲるぐらいの痛みでも沈静のせいでわからない)のような気がしてならんのだが。(参考:http://print.ispub.com/api/0/ispub-article/9285

関係ないが最近次女が夜鳴きのため大人がダウン気味。

雑感12/6

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 週末は日本人医師(中学の後輩)のご家族を自宅に招いて食事会。大変楽しいひと時を過ごす。日本人のお子さんと遊べて娘らもとても楽しそうである。

同日は今シーズン初めてのまとまった雪、午前中に長女のスノーブーツと雪かき道具を買いにTargetへ出かけたところ、信号待ちしていた自分の車の背後からごく軽い追突もらい事故(スリップした模様)、こちらはリアバンパーがへこんだのみでけが人もなし。警察も呼ばず保険の情報を交換して、メモ書きに「私が100%悪いです、○○(乗っていたおばさんのサイン)」と書いてもらって散会、自分でも良くやったなと思う。生まれて初めて新品で買った車が1年で2度ももらい事故(最初の事故は後部座席のドアが大破)。のろわれている。今回衝突された直後に思ったのは当然「長女に怪我はないか?」ということで(実際は無傷)、その直後に「あーまたあの面倒な保険会社とのやり取りをしなきゃならないのか」ということ。本当に面倒くさいんです。

仕事。昨日は結構いろいろな患者が外来に来た。もちろんNASH、HCVは多いが、Atypicalな自己免疫性肝障害など比較的盛りだくさんであった。午後は1年目の内科レジデント(つまり余り消化器内科に詳しくはない)と一緒に5人ぐらいの患者を診察した。レジデントのレベルに合わせて教える内容や求める内容も変わってくる。彼女は非常に優秀で、最初から自分で診察して疑問点をまとめてプレゼンしてくれたのでやりやすかった。以前、学年的には彼女より上のFamily Medicineのレジデントと働いたときは、「何を聞いたらいいか教えてください」と診察する前から要点をレクチャーするよう要請され、なんだかなあという感じだった。

少し視野を遠くすると、今考えているのは肝癌症例を増やすことと肝生検を増やすこと。Directerと交渉予定。超音波のプローブの購入も依頼しているものの手続きが煩雑なのと時間がかかるのとでいつになることやら。

そして今しがた、保険会社からメールが来て、すべて相手側から支払いが行われるので心配無用、との報告をかくにん。よかった!

 

12/1/2016

重症のAIH症例は保険の件がめどがつけばListingに持っていけそう。他の担当入院症例はみなStable。1例、NASH-LC+Congestive hepatopathy由来の乳び腹水の症例がいて、フェローと一緒に鑑別の勉強。LDHも高くないし治療すべき原因は無いのではないかな、と。他は肝硬変のマネジメントやアルコール肝炎で継続して診ている症例がいくつか。肝臓コンサルトは昨日で最終日だったが今回はかなり余裕のあるタームだった。そこで、アイオワで働き始めてからまだ論文を1つも書いていない(学会発表もなし)という情けない状況を打破すべく、空いた時間でデータベースをいじっていたが、残念ながらあまり進まず。

肝癌に対するAblationを自分で施行するための手続きは完了したのだが、今のところ該当症例が自分の外来にいないので、今後どのように軌道に乗せるか、頭の中で模索している。さまざまな部署(消化器内科も含む)のさまざまな人々にそれぞれの思惑があり、どう切り込んでいくか。基本、Ablationは「プログラムに金をもたらす」はずなので、いずれしかるべきやり方で軌道に乗るとは思うのだが。ここにいたる背景などまた詳しく書きたい。

夜帰宅するするときミゾレが降っていた(たぶん今年初)。週末に家に生まれてはじめてのイルミネーションを取り付けようと思っているのだが、どうだろうか。