Backdoor Hepatologist in Iowa

アイオワ大学消化器肝臓内科医師のブログ 内視鏡から肝臓移植まで色々と取り扱ってます

面接、4つのプレゼン、Complicated LT cases

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先週末はフェロー候補のインタビュー。母数は忘れたが、200だか300だかの応募書類の中から選ばれた30人がインタビューに呼ばれるので、彼ら彼女らのCVはすばらしく、研究実績も盛りだくさんで、USMLEを高得点で合格している(自分で受けたことが無いので実感としてどれぐらいすごいのかはわからない)。みな胸を張って自分の業績を語る姿はいっそ清々しい。目に余るほど高飛車な候補者は今回はいなかった。

インタビュー後に御礼のメールをもらうことが多い。今回は自分が面接を担当した10人のうち5人。これまでは面接される側ばかりだったので、面接をしてくれた人に対してメールを送ることに実際どれだけの意味があるのか判然としなかったが、逆の立場になると、面接される側だったときには想定していなかった効果があることがわかる。ひとつは、メールをもらうことで物理的に顔を思い出すのでより印象に残る(初見の印象が悪かった候補者の場合は逆効果かもしれない)。あとは文面がコピペであると印象が悪く、インタビュー当日に話した内容を詳しく書いてあるととても印象がよい。

 

引き続いて、仕事ではこの2週間ほどはTransplant hepatologyのサービス週間。比較的落ち着いているが、Non-complianceからのAcute cellular rejection症例や未診断のPTLD症例があったりと、教育的には充実していてフェローは満足している様子。

 

10月半ばに日本に一時帰国する前の1ヶ月で、60分枠のプレゼンが4つ(肝移植後CMVについて、HCCのablationについて、薬剤性肝障害に対するステロイド治療の是非について、肝移植の適応と生体肝移植について)があり、疲弊。全部引き受ける必要はなかったんじゃと思う反面、何事も勉強也と自分を鼓舞する。

一時帰国の目的のひとつはJDDWへの参加である。アイオワ州医師免許(以前書いたように、自分のは通常のライセンスではなくspecial license と呼ばれる特殊なもの)は日本で消化器内科の専門医であることを前提に担保されているので、専門医維持のためときどきこうして参加しなければならない。面倒だがやむを得まい。おいしい魚と、つけ麺が食べたい。飢えているといってよい。

(写真は先週末のりんご狩りです)

レジデント今昔、秋とHawkeye

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大学病院なのでとにかく目下の先生を教える機会が異常に多い。GIのフェローならばある程度知識があることがわかっているので、どこから説明すればよいか簡単だが、1年目とか2年目の内科レジデントの場合、肝硬変て肝癌のリスクなんですか?みたいのがたまにいるので(仕方ないんですが)、どこから説明を始めるか、そしてどこまで説明をするかのさじ加減が難しく、面白い。相手の手ごたえもよく、説明したことを噛み砕いてカルテに遍く記載してくれているのを見ると、自分の満足度はかなり高く、そして酒が進む。‥‥というようなレジデントと先日働いた、という話です。聞くところによると、Hem/OncとGIで迷っているとのこと。優秀な1年目の女医さん。しかも2カ月目。将来が有望ですね。自分の2カ月目を思い出すと恥ずかしいです。点滴が取れなくて悩んで、夜は神○坂で飲んでいました。

今日の朝はずいぶん寒くて摂氏12度。いまだiPhoneの天気は摂氏設定。あと2-3回子供をプールに連れて行きたかったがもう遅そう。ビールのうまい季節が終わっていくということでもある。来週は肝癌アブレーションの症例もあるし、週末は来年のフェローのインタビュー、アメフトのシーズンが始まり(Go Hawks Go)、そうして秋になっていくんでしょう。

フレッシュマンの素朴な疑問、Japanese beatle

3年毎の契約更改のために書面の準備をしましょう、というセミナー。
肝癌治療のサービスを(超小規模ながら)立ち上げたので、たぶん切られることは無いと思うが、査定内容に学生およびトレイニーからの評価が含まれていると聞いてちょっとビビッている。Clinical-educator trackなので当然ではあるのだが。英語がつたないのでできるだけ丁寧に教えようと努力はしているものの、果たしてどれだけ伝わっていたのか。楽しみ半面、怖い気もしている。

今月前半は肝臓の入院患者コンサルトを率いる。フレッシュマンと回るのは疲れるものだが、勉強になる面も。Sodium benzoate(安息香酸ナトリウム)および亜鉛製剤が肝性脳症に効果を発揮するメカニズムについて教えてほしいとピカピカの瞳でたずねられたが、とっさのことと語彙不足のためうまく説明できず。翌日手書きの尿素サイクルを用意して(もちろん回診前に単語を調べながら準備)、昨日はattendingとして答えられなかったのは恥であった、すまぬ、と頭を掻きながら説明。毎日々々冷や汗です。

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写真はJapanese Beatle(あえて解像度落としてます)。日本からの”外来種”だからこの名前がつけられたのだそうな。今年は冬の温暖な気候のせいで異常発生している模様。我が家のベランダの蔦に大量に群がっていたので、試しに蜂退治のスプレーを噴霧したところ全て瞬殺。大量の死骸が(ばっちい話なので以下略)。

FMT

画像に含まれている可能性があるもの:空、屋外

 

ついに糞便移植(Fecal Microbia Transplant, FMT)に手を出してしまった。

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とはいっても、自分のやる事は、(1)外来で適応を決める(抗生剤に抵抗性のC. difficile colitis)、(2)大腸カメラを回腸末端まで挿入する、(3)250ccの精製水で伸ばした糞便を注入する、の3工程。

このウンチは健康なボランティアからのドネーションでまかなわれている。今回のはマサチューセッツ州で採取。

うまく効きますように。

さて7月になり、新しいフェロー及び新しい同僚スタッフが入職してきた。日本の4月と比べるとあまり”ようこそいらっしゃいませ”感がないものの、気持ちを新たに新年度頑張っていきましょう。

肝臓内科医の武器

内科医として、自分はどれだけ武器を持っているかと言う話。
 
まず土台としての内科的能力、正直アメリカでトレーニングされた内科のと比べると、自分の一般内科の知識の狭さに日々嘆息。これはまぁ日々是勉強なので、それをモチベーションにして精進するのみ。
 
一方自分の専門である消化器内科はアメリカにおいても比較的手技オリエンテッドで(これは例えば循環器内科にしても同じだろう)、またそうした処置モノは経済的な利益を生むので、伝統的に内視鏡礼賛と言う風潮がある。自分も内視鏡は一生続けるつもりで取り組んでいる。しかし、肝臓内科医としての仕事、特に米国のHepatologistに関しては、こんにち手技がほとんど無くなっていると言っていい。昔は肝生検はアメリカでも肝臓内科がやっていたようだが、超音波ガイドではなく打診に基づいたブラインド肝生検である。うちの科でも、ある一定の年齢を超えた肝臓内科医はそのやり方を知っているものの、自分も含め中堅以下はやり方を知らないし、危なくてやりたくないので、ほとんどの症例は放射線科に超音波ガイドでお願いします、というパターンが残念ながら多くなっている。自分は日本で超音波ガイド下肝生検をやっていたので、その数を増やそうと奮闘中。合わせて新しい超音波機器の購入を上層部と話し合っている。現在うちの科にあるのは10年以上前の鈍重なヤツなので。
 
自分の日本でのメンターである肝臓内科の大家の先生は、肝癌もHCVも話題になるずいぶん前から、どちらを中心に進めていこうか考えた上で、両方とも取り組むことにして、今ではどちらの分野でも権威であると言う凄まじい先生なのだが、その先生がしみじみ言っていた、「昔は肝臓内科医はただ見ているだけで自分で直すことができなかった。でも今は、肝炎もHCCも薬と技術を武器にして、自分の手で治せるようになったんだからやりがいが全然違う」、という重い言葉を思い出す。自分もそういう医者になりたいなーと思ってこれまでやってきたつもりである(その”武器”のひとつとして肝移植内科にも取り組んだ)。現在HCVは薬でほとんどの症例がウイルス排除できる時代になった。HBVも少なくともかなりコントロールができるようになっている。肝癌に関しては以前書いたように、まったく新しいサービスラインを作らなきゃいけないと言う困難が待っていたが、マイクロは凝固術を行うようになって「武器」を手に入れた状態である。
 
今し方、HCV(大雑把に言えばHBVも)は薬でほぼ治せる所になったと書いたが、やりがいが増したかというと実はそう話は単純ではなく、逆に工夫をする余地が激減したことにより正直物足りなさを感じないではない。
 
そこで、肝臓内科医がリードする肝臓移植医療を自分の「武器」にできるか、という話になる。ただし正直、肝臓移植は外科医が手を下すもので内科医はそのサポート役であると言う風潮がなきにしもあらず。これは日本でより顕著だが、アメリカでもそういう雰囲気を感じることがある。そこで自分が常日頃思っている(思うようにしている)のは、5年生存率80%の肝移植に対して、経験と知識でそれをどうやって85%、90%(理想は100だが現実的にはその程度)に上げていくかが我々移植内科医の腕の見せ所(=困難な症例にどう対峙するか、というひとつの「武器」)だと思っている。
 
日本にもアメリカにも、アロガントな医師はいる。内科医も外科医もそれは同じ。ただ今回は外科医の話。今の職場には1人日本人の腫瘍外科医の先生がいるのだが、この先生は医療的にも人格的にも大変素晴らしく尊敬しているのだが、そうでないのも正直複数いる。お前の内視鏡の診断技術が信用できないからポリペクした大腸の近くに点墨をし直せと言ってくる(しかもそれを見越してクリップを打ってCTを撮ったのを診ていない、指摘したら半笑いで”Oh, thank you for letting me know"というだけ)、血液検査もせずに”患者が黄色く見えるから肝臓悪くなってるはずだから見に来い”と言われ、診察後にDiscussionしようと思ったらこちらの顔も見ずにずっとFacebookをスマホで見ている、10年以上年長の内科医に対して”その肝機能障害に対するアプローチは間違っている”とキャンサーボードの面前で言い放つ、、、。
 
肝移植内科医が持っているもう一つの武器は、相当に強力な飛び道具である。それは、すなわち移植外科医だ。その武器をうまく使いこなせるかどうかも含めて、肝臓移植内科医の力量が試されると思っている。すべては患者アウトカムを高めることであり、しょもない自分の感情は置いておかなければいけない。自戒もこめて。